【ヘアケア商品の海外展開】越境ECについて調べてみた

勝手に口がしゃべります

以前、日本に興味がある台湾人向けサービスに関わる仕事をしていた時、台湾人向けメディアや台湾人自身の発信をリサーチしていました。
その際に気づいたことがあります。

  • 日本で広告費を莫大にかけているコスメ関係の会社は、台湾人向けにも販売・マーケティングをしている。
  • 日本で特段目立っていない、いわゆる「映える」ようなものでないコスメでも、再生数がしっかり回っているものがある。
  • さらに、その投稿につくコメント数が異常に多い。日本人のコスメ投稿ではあまり見ない割合で、フォロワー数が数万人と小規模にもかかわらず非常に多かった。

やや話はずれますが、プラスで気づいた点もあります。

  • 韓国コスメが爆売れしているのは、日本の薬機法を無視していて“無法地帯”だから。日本のコスメよりも強くストレートな訴求ができるため、ユーザーに響きやすく売れやすい。
  • また、日本の薬機法が介入できないプラットフォームを使っている。

さらに、私がマーケティングチームとして広告運用や導線設計に入っていたプロジェクトでは、次のような状況がありました。

  • 会社規模や販売数が拡大するほど、薬機法やJADMAを意識しすぎて「言いたいことが言えない」。
  • 通販業界で目をつけられると、やりづらくなる。

つまり、がんじがらめで「届いてほしいユーザー」にすら見つけてもらうことが、こんなにも難しいのかと実感しました。
商品自体には代えの利かない価値があるにもかかわらず。

そこで、もっと自由に表現したり、ユーザーに届けたいなと思って。
海外ならそれがまだ叶うんじゃないか?と思いました。
実際に、台湾に拠点を置いている日本の美容会社もあるそうで、台湾に拠点を置くことで他のアジアへの送料が日本から送るよりも安くなるとかメリットがあるようです。


今回は知識ゼロの状態から「もし自分が商品を作って販売するなら?」という視点で調べてみました。
そんな予定ないんですけど。
まず最初に取り組んだのが「日本人の髪質や髪の構造に近い国はどこか?」というリサーチです。


日本人の髪の構造に近い国はどこか?

色々調べてみると、アジアなら一緒なのかというとそうでもなくて、東アジアが近いことが分かりました。

地域・国日本人との類似度毛髪の太さ断面形状主なメラニンキューティクルの特徴
日本基準中〜太めほぼ円形ユーメラニン主体(黒〜濃茶)厚めで層が多く丈夫
韓国★★★★★ 非常に近い中〜太めほぼ円形ユーメラニン主体(黒髪多い)日本人と同様に厚め
中国(北方系)★★★★★ 非常に近い太め円形に近いユーメラニン主体厚め
中国(南方系)★★★★☆ 近いやや細め〜中程度やや楕円もありユーメラニン主体やや薄めの傾向も
モンゴル・中央アジア★★★★☆ 近い太く硬い円形ユーメラニン主体厚い
ネイティブアメリカン★★★★☆ 近い中〜太め円形ユーメラニン主体(黒髪)厚め
東南アジア(タイ・フィリピン等)★★★☆☆ 部分的に近い細め〜中程度楕円〜円形ユーメラニン+フェオメラニン混在(茶系多い)薄め〜中程度
欧米(白人系)★★☆☆☆ 違い大細め楕円フェオメラニンも多く明るい色薄く層が少なめ
アフリカ系★☆☆☆☆ 最も違う太さはバラつき非常に扁平ユーメラニン主体層が薄くカール強い

【国・地域別ヘアケア化粧品規制と広告表示の比較表】

日本の広告表示の自由度はトップクラスだと勝手に思っているので、他のアジア諸国を調べてみました。

国・地域自由度の目安制度の骨子(ヘアケア関連)広告・表示で可能な方向性(例)注意点(根拠)
日本★★☆☆☆化粧品は効能表現が厳格に限定(一般は約56項目)。育毛・フケ防止等は医薬部外品で承認が必要。「毛髪・頭皮をすこやかに保つ」「フケ・かゆみを防ぐ」等(医薬部外品表示を前提)。医薬部外品の広告は「医薬品等適正広告基準」等に適合が必要。育毛・発毛は医薬品領域。
出典例:日本化粧品工業連合会、厚生労働省通知
中国★★★☆☆CSAR制度。特殊用途化粧品(例:脱毛防止等)はNMPA登録が必要。一般化粧品は届出制。一般用途:保湿・ヘアケアの一般表現。特殊用途は登録・許可後に効能表示可。未登録で特殊効能(育毛・抗脱毛等)を標榜不可。違反時は広告法・電商法の措置対象。
出典例:NMPA/CSARガイド、ChemLinked
タイ★★★★☆ASEAN Cosmetic Directive準拠の通知制(事前審査より書類整備が中心)。「髪を健やかに」「ボリューム感」などの一般機能は比較的許容。虚偽・誇大広告は消費者保護法の対象。医薬品相当の効能は不可。
出典例:Thai FDA、ACD文書
インドネシア★★★☆☆BPOMが所管。通知登録と成分適合が必須。ハラール対応(BPJPH)も重要。自然派/頭皮ケア・ボリューム訴求等の一般表現は比較的可。強い効能主張には裏付け要。違反は是正命令・罰金等。
出典例:BPOM規則、ハラール法
インド★★★★☆Cosmetics Rules 2020。AYUSH(伝統医療)由来の広告は準拠ルール(Rule 170等)に注意。化粧品としての一般ヘアケア表現は比較的許容。根拠資料の保持が望ましい。「疾患の治療」を想起させる表現は不可。AYUSH該当は別途広告規制。
出典例:CDSCO、AYUSH広告規則
台湾★★★☆☆TFDAオンライン届出+PIF・苦情管理。成分・表示規制が整備。「髪の健康」「頭皮ケア」等の一般訴求は可(根拠・PIF保持が前提)。医薬効能の暗示は違反。GMP・成分規定の順守が必要。
出典例:TFDA告示、ChemLinked


日本で使えない訴求文言は海外ではどうなのか?

日本で使える・使えない表現を他のアジアと比べてみました。
ここもう少し掘ってみたい感じがあります。

文言(例)日本中国台湾タイインドネシアインド
育毛を促進する✖(医薬部外品のみ)△(特殊化粧品承認で可)△(補助的表現なら可)
抜け毛を防ぐ✖(医薬部外品のみ)△(特殊化粧品承認)
発毛をサポートする△(実務上散見)
髪が生える/再生する
白髪を黒髪に戻す✖(染毛は可だが「戻す」は不可)
フケ・かゆみを抑える△(医薬部外品)
美髪に導く△(「美しく見せる」は可)
髪をサラサラにする
ストレートに整える△(スタイリング範囲)
ツヤを与える/ツヤ髪
ダメージを補修する△(「補修」は可、「修復」は不可)
髪を強く丈夫にする✖(医薬的効能に該当)
髪のボリュームをアップする✖(スタイリングの一時的効果なら可)


各国ポイントをまとめると

日本

  • 化粧品の効能効果は「56項目」に限定。美髪・サラサラ・ツヤ・ストレートは「外見改善」として許容される。
  • 「補修」はOKだが「修復」「再生」はNG。
  • 育毛・フケ防止は医薬部外品承認が必要。
  • 根拠:厚労省「化粧品の効能効果表現ガイドライン」【厚労省】

中国(CSAR)

  • 「抗脱毛」「染毛」などは特殊化粧品に分類、NMPA登録必須。
  • 美髪・サラサラ・ツヤなどの一般表現は一般化粧品として許容。
  • 根拠:CSAR(Cosmetic Supervision and Administration Regulation)

台湾(TFDA)

  • 化粧品は通知制+PIF保持。美髪・サラサラ・ツヤは許容。
  • 医薬的効能(発毛など)は禁止。
  • 根拠:TFDA「化粧品衛生管理法」

タイ(ASEAN Directive準拠)

  • 化粧品は通知制。美髪・サラサラ・ツヤは問題なし。
  • 市場では「育毛・発毛」表現も見られる。
  • 根拠:ASEAN Cosmetic Directive、タイFDA

インドネシア(BPOM)

  • 化粧品はBPOM通知。禁止・許容クレーム規則(2022/2025)があり、美髪・サラサラ・ツヤは可。
  • 市場では育毛・発毛オイルも多い。
  • 根拠:BPOM Regulation No.3/2022

インド(Cosmetics Rules 2020/AYUSH)

  • 化粧品一般表現(美髪・サラサラ・ツヤ)は可。
  • AYUSH広告では「発毛」「脱毛症改善」すら使われる。
  • 2025年にRule 170撤廃が維持され、広告自由度が拡大。
  • 根拠:Cosmetics Rules 2020、最高裁判決関連報道

参考資料

[日本医療機器産業連合会]医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について

[khlaw.com]The Changing Face of Cosmetics in China: Challenges and Opportunities

[credevo.com]Registration Of Cosmetics In Thailand | Credevo Articles

[ChemLinked]: インドネシア – Indonesia Cosmetic Regulation | 台湾 – China’s Taiwan Cosmetic Regulation

[cdsco.gov.in]Cosmetics Rules, 2020


結論

まだ深堀りします。続報を待て!

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